ハリオアマツバメの水飲み

2022.07.04

盛夏になると撮りたくなる鳥のひとつにハリオアマツバメがいる。アマツバメ類は繁殖のため巣にいる時以外は24時間365日、常時飛んでいるという”空の申し子”である。採食も水浴びも交尾も、そして睡眠さえも飛びながら行うという驚きの生態を持つ。
ちなみに、その名にツバメとは付くがツバメ類とは全然違う鳥たちである。ツバメ類はスズメ目ツバメ科だが、アマツバメ類はアマツバメ目アマツバメ科。ツバメとの類縁関係は遠く、むしろハチドリに近い分類の鳥である。その中でハリオアマツバメは夏の間、独特な水の飲み方をする。それが夏になるとこの鳥を撮りたくなる理由である。
暑さがピークを迎える頃、ハリオアマツバメは山間の池や沼に現れてその水面近くを高速で飛びながら瞬間的に口を付けて水を飲む。その飛行速度は時速170kmと言われ、水平飛行ではハヤブサをしのぐ世界最速の鳥なのである(ギネスブックにも掲載されているらしい)。そんなレコードホルダーの鳥が猛スピードで飛びながら大きく口を開けて水を飲むシーンは、大きく水しぶきが上り。ダイナミックでとても見ごたえがある。
しかし、高速飛行で、いつどこから現れるかわからないため、撮影難易度は非常に高い。思いどおりに撮るのは至難の業だ。私はまだ満足できる撮影はできていないが、それだけにチャレンジし甲斐があるというものだ。
ただ、ハリオアマツバメが水を飲みに来るのはどこの池でもいいというわけではなく、場所はかなり限られている。有名な場所は北海道では札幌にあるが、他に長野県や岐阜県などにもあることが知られている。
しかし、私はじつは道東にもあると思っている。というのは、ハリオアマツバメそのものは北海道全域に普通に生息しているし、何年か前には、道東のとある森でハリオアマツバメの巣がある場所を見つけたこともあったからだ。ハリオアマツバメは、孤立木の洞の中に巣を作ることが多い。営巣地があるということは、真夏には必ずや近くの池沼に飛んで行って水を飲むはずなのだ。だから、道東にも必ずハリオアマツバメが飛来する池沼は、ある。
ただ、しかし、いまだにそれを見つけられないでいる。そういう池があるという話も聞こえてこない。道東のハリオアマツバメは、いったいどこの池で水を飲んでいるのだろう。私は今夏、その場所を突き止めることはできるのだろうか。(掲載写真は札幌で撮影したものです)

 

 

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