水郷公園のベニマシコ

2020.08.21

夏の北海道では、普通に見かけるベニマシコ。
草原でも河川敷でも、「ピッポ、ピポポ」という独特の声を聞くことはしょっちゅうあるし、林縁のちょっと開けた場所なんかでもよく見かける。きれいな鳥だけど、珍しくもない、まあ、フツーの鳥のひとつだ。

 

 

ところが、埼玉県に住む友人の話では、このベニマシコが大変な人気者なのだという。関東では冬鳥で、北海道とは季節の違う鳥ではあるが、それだけではなく、生息数が北海道とは比べ物にならないほど少ないらしい。
赤くてきれいで、数が少ないとなれば人気が出るのも道理だろう。しかし、それにしても、ベニマシコが出没する場所には常に10人は下らない数のカメラマンたちが、迷彩服に身を包み、大砲のようなレンズを付けたカメラでその出現を待っているのだそうだ!
「えー!?ベニマシコごときで?」
北海道で鳥を見ている者には信じられないような話だ。
「だったら、夏に北海道に来ればいいのに…。簡単に撮れるよ。」
と、つい言ってしまったが、旅行で来る人たちには必ず目的の鳥を見せてあげたい、撮らせてあげたい、と思うのがガイドする立場としての性だ。
夏のベニマシコは、繁殖期のためか案外警戒心が強くて、なかなか近づかせてくれない場合が多い。そういう意味では、簡単に撮れる鳥、とは必ずしも言い切れない。

そこで思い出したのが、弟子屈の「水郷公園」。
JR摩周駅からほど近い市街地の公園だが、旧釧路川の河跡湖だった池を中心に、釧路湿原の自然の一部を再現しているかのような場所。意外と自然度が高く、季節を問わずたくさんの野鳥が生息するおススメの探鳥地である。
6月頃にこの水郷公園に行けば、必ずと言っていいほど至近距離にベニマシコが出てきてくれる。公園らしい低木の植え込みにとまって、じっくりとその赤い姿を見せてくれることもしばしば。原生花園などで見かけるベニマシコより警戒心は格段に薄い。
そうだ!来年の6月には、かの友人を水郷公園に案内しよう。私は、電話口でそう心に決めていた。

 

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